災害歯科

災害発生時に歯科医師会はその専門性を活かし次の3つの役目を果たします。

  1. 1つ目は、県や市町村行政と連携しながら、被災地域に災害歯科医療チームを派遣して、お口の怪我や歯の痛み、入れ歯を失くした方々の応急歯科治療を、歯科衛生士会や歯科技工士会、岩手医科大学歯学部と協力して行います。

    広域災害では、地元の歯科診療所復旧まで仮設歯科診療所を設置して、応急歯科治療を行うこともあります。

    東日本大震災では実際に、歯科医療従事者約980名を派遣し、1457名の避難者の歯科診療を行いました。

    また被災近隣地域の歯科診療所の稼働状況もホームページで受診時に困らないようにお知らせをします。

    歯科巡回診療車での診療風景
  2. 2つ目は、避難所や仮設住宅などの避難者に対して歯科相談を行ったり、高齢者・福祉施設の避難者も含めて、歯ブラシや義歯の洗浄などが行いづらい状況が続くことで起こる誤嚥性肺炎など、細菌が引き起こす感染症予防のため、お口や義歯の清掃方法を具体的にご紹介します。

    東日本大震災では実際に、震災後8年間に歯科医療従事者を延べ約2600名被災地に派遣し、約9000名の避難者に歯磨き指導や健康相談に取り組みました。

    震災時の災害歯科グラフ
  3. 3つ目は、不幸にも犠牲者が発生した時には、警察と協力しながら、ご遺体の身元確認のために、歯や入れ歯の状態を詳細に記録します。生前の歯科治療の記録があれば、かかりつけ歯科の会員診療所に問い合わせをして生前の歯科治療痕と照らし合わせることも行います。

    東日本大震災では実際に、約800名の歯科医師を派遣し、2647名のご遺体の歯科所見を採取し、ご家族にお返しをする手助けをしました。

    このように災害時の避難者の健康を維持し、被災地区の歯科医療の回復に向けて、地元の歯科医師や医師会、薬剤師会などの関係職種と連携し、他県の支援チームの調整も行いながら支援活動するために、日頃から訓練や備えをしています。

    口腔内所見の観察・記録