学校歯科保健

学校における歯・口の健康診断は子供たちが自分の歯や口の健康状態を具体的に知り,健康の保持増進に対する意欲を高め、問題解決能力を向上させることがねらいです。
学校での検診は「異常なし」「定期的観察が必要」「専門医による診断が必要」にふるい分け(スクリーニング)することを目的としたもので,医学的立場から確定診断を行うものではありません。学校保健では,健康診断及びその結果を個人(保護者)や集団(学校、学年、学級)に対する事後指導、健康教育に役立て、下の図のような成果を上げています。

■12歳児の一人平均(永久歯)う歯数の推移(全国、岩手県の比較)
hoken01    出典:文部科学省「学校保健統計調査」, 公立学校定期健康診断結果集計

■12歳児の(永久歯)う蝕有病者率の推移
hoken02    出典:公立学校定期健康診断結果集計

 

平成11年の12歳児永久歯の一人平均う歯数は約3本でした。平成25年では約1本と三分の一に減少しました。12歳児の永久歯う蝕有病者率も73.6%から34.9%と半減し、3人中2人は永久歯にむし歯がありません。
むし歯は子供がかかる代表的な疾患でしたが、健康教育、保健指導による歯みがきや食習慣など適切な生活習慣を身につけることにより予防できる疾患です。
学童期の、生えて間もない永久歯の表層は未成熟なため、科学的な反応が高く、歯の表面構造は変化を受けやすい。歯の表面に酸があれば溶けやすく、またフッ素イオンがあれば酸に対して抵抗性を増すようになる。むし歯の発生しやすい時期は、生えた直後から約2~3年です。そこで、特にこの時期にむし歯発生に対処するため、口腔内の状態に応じた歯垢除去のためのブラッシング指導、砂糖摂取抑制のための食事・間食指導、そしてフッ化物応用を目的としたフッ化物洗口・フッ化物塗布・フッ化物配合歯磨剤の選択に関する学習など、生涯を通した歯・口腔の健康づくりのために学校での健康教育、保健指導が重要になっています。
歯・口腔の働きは「食べ物を取り込み、食べる」「表情をつくり、話す」「運動を支え、体のバランスをとる」など、人の生命を維持し、生活と深くかかわっています。心豊かに人生を過ごすための機能であることを理解し、生涯を通して歯・口腔が健全に保たれ機能を十分に発揮できるようにするための知識と習慣を身につける事が大切です。

なぜ、むし歯になるの?
お口の中では食事のたびに歯の表面でプラークによる脱灰と唾液の効果による再石灰化が繰り返し行われています。脱灰が起こらないように歯垢を除去することや細菌が酸を作り出す源になる糖質を制限することなどによって脱灰と再石灰化のバランスが取れているときは、むし歯は起こりません。しかし、プラークが長期間歯面に停滞する場所や、砂糖を含む飲み物、菓子など絶えず飲食するなどして、脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰のほうが多くなるとむし歯になります。

hoken03

要観察歯CO(シーオー)とは
 脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が進み始めた状態で,このまま放置するとむし歯になるリスクがある歯ですが、口腔清掃や食習慣を改善することにより再石灰化を促せば健全歯に回復することが出来ます。

hoken04

 検診では明らかなう窩が確認出来るものをCとし、う窩が確認出来ないがむし歯の初期病変の徴候(白濁、白斑、褐色斑)認められ、その経過を注意深く観察する必要がある歯をCOとします。そのほか、例えば隣接面や修復物下部の着色変化、初期病変の徴候が多数に認められる場合等地域の歯科医療機関(かかりつけ歯科医)との連携が必要な場合は「要相談」とし、歯・口腔の健康診断結果のお知らせに記載しています。 
 COはむし歯になってから対処するのではなく、学校や家庭で適切な指導や観察を行うことでむし歯になりやすい環境を改善してむし歯への進行を防ぐことを目的に導入されました。学校、家庭だけでなくかかりつけ歯科医での専門的な指導やフッ化物の応用も有効です。

歯周疾患要観察者GO(ジーオー)
口腔清掃不良により歯肉に腫脹、発赤や軽い出血がみられている歯肉炎であり、ブラッシング指導等を適切に行い、観察を続ける必要がある者です。これらの者は養護教論や学級担任等による学校での観察・指導と学校歯科医による臨時の健康診断も行われます。家庭での観察と併せ、地域の医療機関(かかりつけ歯科医等)の専門家による継続的な管理・ 指導により歯肉の改善を図ることも考えましょう。

hoken05

 GOは比較的簡単な説明により、子ども自身が観察することで歯肉の状態が健全か病変か判断することが可能である。また、歯肉炎の要因にもなる歯垢を染色することにより、視覚的にその汚れの状態を観察することが可能で、子どもへの保健教育の興味と動機づけにも有効です。このようにGOなど歯周疾患は、学校での適切な保健指導を行うことによって、子どもが自ら気づき、病変の進行を予防・抑制するような生活習慣を見直す保健教育の教材にもなる意義をもっています。